令和3〜7年度 5年分の問題から見えてきたこと
国語の読解問題には、
解き方の「手順」があります
過去5年分の問題を分析すると、出題者がいつも
同じ「力」を問っていることがわかります。
その手順を知っておくだけで、どの年度の問題でも
同じように対処できます。
原則 01
答えは
「本文の中」にしかない
自分の感想や常識で答えてはいけません。「筆者がどう書いているか」だけが正解です。国語のテストは「あなたの意見」を聞いているのではなく、「この文章には何と書いてあるか」を聞いています。
NG:「きっと悲しかったと思う」(自分の想像)
OK:「○○という描写から、悲しみが読み取れる」(本文の根拠)
原則 02
筆者の言いたいことは
「形を変えて何度も出てくる」
同じことを、①難しい言葉で言う→②例え話で言う→③まとめ直す。この3つはぜんぶ同じことの言い換えです。一か所わからなくても、別の場所でもっとわかりやすく言い直してくれています。
キーワードが何度も出てくる = そこが筆者の言いたいこと
「つまり」「要するに」の後 = 言い換えのまとめ
原則 03
ヒントは
「傍線部のすぐそば」にある
傍線が引かれたら、まず前後2〜3文を徹底的に読みましょう。答えの8割はそこにあります。「近所から先に探す、遠くは後で」という順番が大切です。
傍線部を見たら → まず前の文・後ろの文
それでも見つからない → 同じ段落 → 他の段落へ
▶ この3原則が問題にどう使われるか
過去5年分の沖縄県立入試を見ると、すべての設問がこの3原則のどれかに直結しています。「気持ちを答えなさい」→原則①(本文の根拠)、「なぜか答えなさい」→原則③(傍線周辺のヒント)、「この言葉はどういう意味か」→原則②(言い換えを探す)。手順が決まっているから、センスに頼らなくて済みます。
小説・物語
探すのは「気持ちの根拠」
- 気持ちは直接書かれません。「台所の音が荒い」「拳を握る」「顔が熱い」など、描写・行動・体の反応が気持ちのサインです
- まず気持ちがプラスかマイナスかだけ判断する。それだけで選択肢を半分に絞れます
- セリフより地の文(ナレーション部分)に本音があります。「大丈夫」と言いながら手が震えていたら、本音は不安です
- 気持ちの変化を問われたら「変化前」「きっかけ」「変化後」の三点を答えます
- 情景描写(天気・景色・音)が出たら登場人物の気持ちと対応しています。これは出題者が用意したヒントです
論説・説明文
探すのは「筆者の主張」
- 「しかし」「だが」「ところが」の直後が筆者の本音です。逆接の後ろを二重線で囲む習慣をつけましょう
- 「確かに〜。しかし…」という構造では、「確かに」の後は筆者の意見ではありません。「しかし」以降だけが主張です
- 「つまり」「要するに」の後はまとめです。記述の答えとして使える言葉が来ます
- キーワードが出てきたら「この文章での意味」を本文から探します。辞書の意味とズレていることが多く、そこが問題になります
- 具体例(人物・事件・実験)が出たら「これは何の証明のために書かれているか」を考えます。例そのものは答えに使いません
▶ 沖縄県立入試の論説文に特有のパターン
過去5年の論説文はすべて「一般に思われているイメージを否定して、別の視点を提示する」構造(二項対立型)です。ナイチンゲール・はずれ者・倍速視聴・AIと人間……どれも「AではなくBだ」の形で論が進みます。「しかし」を見つけたら、その前が否定される一般論で、その後が筆者の主張です。
①
「どんな気持ちか」「心情を答えよ」系
最頻出です。「悲しい」などの気持ちの言葉だけでは不正解です。本文のどこからそう判断できるか(根拠)をセットで書く必要があります。気持ちを直接表す言葉がない場合は、描写・行動・体の反応から根拠を作ります。
答えの型:「(本文の根拠:○○という描写・行動・言葉)から、(気持ち)が読み取れる」
NG:気持ちの言葉のみ OK:根拠+気持ちのセット
②
「気持ちはどのように変化したか」系
変化の「前」と「後」だけ書いても不完全です。「何をきっかけに変わったか」を必ず入れてください。このきっかけは本文の具体的な場面・言葉から探します。
答えの型:「最初は(変化前の気持ち)だったが、(きっかけとなる出来事・場面)をきっかけに、(変化後の気持ち)に変わった」
③
「なぜか」「理由を答えよ」系
理由は必ず本文の中にあります。自分の想像や常識で書いても点になりません。傍線部の前後2〜3文に「〜から」「〜ため」「〜ので」という表現を探しましょう。見つからない場合は同じ段落を探します。
答えの型:「(本文の根拠)から(理由)であるため」※語尾は「〜から」で締める
NG:気になったから OK:本文の「○○」という記述から〜とわかるため
④
「どういう意味か」「言葉の意味を説明せよ」系
辞書の意味で答えると不正解になります。論説文のキーワードには「この文章の中での定義」があります。初めてその言葉が出てきた付近・「〜とは〜である」という文を探してください。
答えの型:「この文章では、(キーワード)とは(本文での定義・説明)のことを指している」
例:「エシカル」=辞書では「倫理的な」だが、この文章では「自分のものさしを持って立ち止まること」
⑤
「この例はなぜ出されているか」「どんな役割か」系
論説文に出てくる具体例(人物・事件・実験)は筆者の主張を証明するために書かれています。具体例そのものを答えに使ってはいけません。「この例の前後にある主張」を答えに使います。
答えの型:「(事例)は、(主張・論点)を具体的に示す例として書かれている」
確認法:具体例の直前・直後の抽象的な一文が答えのヒントになっています
⑥
「二つの文章を比べて答えよ」系
令和3年から毎年出ています。まずそれぞれの文章の「言いたいこと(主張)」を一言でメモしてから、共通点・相違点を整理します。「視点の違い(誰の立場から書いているか)」を軸にすると整理しやすいです。
答えの型:「文章①は(誰の視点)から(主張)を論じ、文章②は(誰の視点)から(主張)を論じている。共通しているのは(共通テーマ)という点である」
読みながら接続詞に○をつける習慣をつけましょう。接続詞の前後で「話が変わる・まとまる・理由が来る」のかがわかります。過去5年の沖縄県立入試では、すべての論説文でこの接続詞の読み方が解答の鍵になっています。
逆
逆接「しかし」「だが」「ところが」「しかしながら」
最重要です。逆接の後ろが、筆者が最も言いたいことです。「確かに〜。しかし…」という構造では、「確かに」の後は筆者の意見ではなく一般論です。「しかし」以降だけを答えに使います。
実際の使われ方:「ナイチンゲールは優しい看護師のイメージがある。しかし、実際はデータで政府を動かした社会改革者だ」→「しかし」の後が筆者の主張(令和6年度)
結
まとめ「つまり」「要するに」「すなわち」「言い換えれば」
これの後ろには、前の内容のまとめが来ます。記述の答えとして使えることが多いです。また、難しい言葉で書かれていた主張が、ここでわかりやすく言い直されることもあります(原則②の言い換え)。
実際の使われ方:食料生産の話・消費者の話を経て「つまり、買うという行為は世界とつながっている」→このまとめが論文全体の核(令和5年度)
例
例示「たとえば」「具体的には」「たとえて言えば」
具体例が始まるサインです。具体例そのものは答えに使いません。「たとえば」の前にある抽象的な主張、または「たとえば」の後の具体例の直後に来る抽象的なまとめを使います。
実際の使われ方:白い蛾・黒い蛾の話は「たとえば」で始まる→これは「はずれ者が環境変化で生き残る」という主張の証拠(令和4年度)
因
理由「なぜなら」「というのも」「〜から」「〜ため」「〜ので」
「なぜか」を問う問いへの答えがここにあります。「なぜなら」の後ろ、または「〜から」「〜ため」の前にある内容が理由です。理由を答えるときは「〜から」「〜ため」で語尾を締めます。
答えの確認法:「なぜか」と聞かれたら「〜から」で答えられる文を本文から探す。語尾が「〜から」になっていれば理由の形になっています
対
対比「一方」「それに対して」「逆に」「反対に」
二つのものを比べているサインです。対比の構造が出てきたら、「A(否定される側)」と「B(筆者が推す側)」を整理します。論説文の設問はほぼ必ず「どちらが筆者の主張か」を問います。
実際の使われ方:「AIは量はできる。一方、疑う力はない」→対比で人間の特質を際立たせる(令和3年度)
気持ちを答えなさい系の問題
悲しかった。
「○○という(描写・言葉・行動)から、△△という気持ち(悲しみ・不安・喜びなど)が読み取れる。」
気持ちの言葉だけでは0点か減点になります。必ず「どこから読み取れるか」をセットにしましょう。
気持ちの変化を説明しなさい系
最初は不安だったが、後から安心した。
「最初は(A:〜という気持ち)だったが、(きっかけとなる出来事・場面)をきっかけに、(B:〜という気持ち)に変わった。」
「きっかけ」を入れると答えが完成形になります。きっかけの部分は本文の言葉を使いましょう。
なぜか・理由を答えなさい系
気になったから。
「(本文の根拠:〜という記述)から、(理由)ということがわかるため、(行動・発言)をした。」
「〜から」という語尾で締めると理由を答えている形になります。自分の想像は一切書かないようにしましょう。
言葉の意味を答えなさい系(論説文)
倫理的・道徳的な消費のこと。(辞書の意味)
「この文章では、(キーワード)とは(本文で説明されている内容)のことを指している。」
辞書の意味ではなく「この文章の中での定義」を本文から探して使いましょう。
二つの文章を比べて答えなさい系
文章①も文章②も、ものを大切にすることについて書いている。
「文章①は(誰の視点・何の立場)から(主張)を論じ、文章②は(誰の視点・何の立場)から(主張)を論じている。共通しているのは(共通テーマ)という点である。」
「視点の違い(誰の立場か)」を軸に整理すると、二文章比較の答えが組み立てやすくなります。
令和7年度
小説「台所のおと」(幸田文)→ 音の描写から気持ちを読む。「書かれていない気持ち」の読解の最も洗練された出題。
論説「映画を早送りで観る人たち」(稲田豊史)→ タイパ・共感性羞恥など現代的なキーワードの本文内定義を問う。
令和6年度
小説「孫係」(西加奈子)→ 言葉と本音のズレ。家族の会話にある「照れ・遠慮・意地」を読む力が問われた。
論説「ミライの授業」(滝本哲史)→ ナイチンゲールの「当たり前のひっくり返し」。AではなくBだ型の典型。
令和5年度
小説「ファミリーツリー」(小川糸)→ 自然描写と気持ちの重なり・二人の人物の対比。
論説「大量廃棄社会」+「はじめてのエシカル」→ 二文章比較の定番形式が確立。作る側と買う側の視点を整理する力が問われた。
令和4年度
小説「春や春」(森谷明子)→ 「友」という言葉一つの重さ。言葉の意味を場面から読む問いが核心。
論説「はずれ者が進化をつくる」(稲垣栄洋)→ 二文章+事例(蛾)の意味を問う。多様性というテーマを生物学と社会でつなぐ。
令和3年度
小説「サマーキャンプへようこそ」(重松清)→ 父と息子の「不器用な愛情」。意図と受け取り方のズレを読む。
論説「人間の本性」+徒然草(資料3つ)→ 最難関構成。AIの俳句・現代評論・古典を三つつなげる読み方が問われた。「疑う力」が共通テーマ。
最後に、まとめとして
国語はセンスではなく、
手順で解く問題です
「答えは本文の中にある」「筆者の言いたいことは形を変えて繰り返される」「ヒントは傍線のそばにある」——この3つを出発点に、問われ方の型と答え方の型を組み合わせれば、初めて見る文章でも同じ手順で対処できます。
沖縄県立入試の国語は、過去5年間ずっと同じことを問い続けています。気持ちの根拠、変化のきっかけ、言葉の本文内の意味、具体例の役割、複数文章の比較——これらすべてに、決まった答え方の型があります。
型を身につけること。それが一番の近道です。
沖縄県立入試 過去5年分の分析 + 次の一手
論説文に出てくる
「現代のテーマ」を知る
入試の論説文は、いつも「今の社会で大事なこと」
をテーマにしています。
どんなテーマが出やすいかを知っておくだけで、
初めて読む文章でも「あ、このパターンだ」と
落ち着いて読めます。
論説文のテーマは毎年変わりますが、「大きなジャンル」は同じです。「人間とテクノロジー」「多様性・個性」「環境・消費」「コミュニケーション」——このあたりが過去5年でくり返し問われています。
このページでは、すでに出たテーマとまだ出ていないが大切なテーマを並べて紹介します。どちらも同じくらい重要です。テーマを知れば、文章の「言いたいこと」への見当がつくようになります。
倍速視聴・タイパ(タイムパフォーマンス)
令和7年度 出題済み
映画やドラマを早送りで観る・10秒飛ばしで観るという行動が若者に広がっています。「タイパ」とは「時間対効果」のこと。限られた時間で多くのコンテンツを消費したいという現代の感覚から来ています。
筆者は「批判」ではなく「なぜそうなるのか」を分析しています。社会の変化が生んだ新しい消費の形として論じられます。「共感性羞恥」(ドキドキする場面が苦手・感情移入しすぎて恥ずかしい)という心理もセットで理解しておくと入試に使えます。
来年度以降に備えるなら:「効率と体験はトレードオフか」「動画・音楽・読書の消費の仕方は変わったか」「速さを求める社会のメリット・デメリット」などで自分の意見を持っておこう
出題作品:「映画を早送りで観る人たち」稲田豊史(令和7年度)
多様性・はずれ者・個性の価値
令和4年度 出題済み
「みんなと同じ」が安全とされる一方で、「はずれ者(多数派と違う個体)」こそが進化・変化をもたらすという視点。生物学(蛾の色の多様性)と社会の話をつなぐ論の展開が典型的です。
「標準化・効率化は本当に正しいか」「違いは弱さではなく強みである」という論旨は、教育・社会・自然のどの分野でも応用されます。この視点は人権・差別・障がい者支援の話とも重なります。
来年度以降に備えるなら:「学校で『みんな同じ』は本当に大切か」「少数意見の重要性」「LGBTQ+の話と個性の尊重」などと連動して考えてみよう
出題作品:「はずれ者が進化をつくる」稲垣栄洋(令和4年度)
「エシカル」とは倫理的・道徳的という意味。「エシカル消費」=自分の価値観・倫理観を持ってものを買うこと。安ければいいのか、それとも「誰が・どんな環境で作ったか」まで考えるのか。
大量廃棄社会という問題と、買う側(消費者)の責任がセットで論じられます。「作る側の視点」と「買う側の視点」を二文章で比較する問題形式でした。「フードロス」「ファストファッション」「フェアトレード」などと結びつく重要テーマ。
来年度以降に備えるなら:「服を買うとき・食べ物を選ぶとき、どこまで考えるか」「安さの裏に何があるか」「SDGsの目標12(つくる責任・つかう責任)」を読んでおこう
出題作品:「大量廃棄社会」「はじめてのエシカル」(令和5年度)
AIが俳句を作れるか、という話題から「人間だけが持つ能力とは何か」を問う論点でした。「疑う力・判断する力・意味を問う力」こそが人間の本性だという論旨。
令和6年以降もAIの話題は社会で急拡大しています。「ChatGPTは作文が書けるか」「AIに仕事が奪われるか」「AIと共存するとは何か」など、発展形のテーマは次の出題でも十分ありえます。
来年度以降に備えるなら:「AIに任せていいこと・いけないこと」「創造性とは何か」「人間らしさとはどこにあるか」という問いで自分の考えを整理しよう
出題作品:「人間の本性」+徒然草(令和3年度)
「当たり前のひっくり返し」と違和感の力
令和6年度 出題済み
「みんなが知っているイメージをデータで否定し、別の視点を提示する」という論の型。ナイチンゲールの例では「やさしい看護師」ではなく「統計で政府を動かした社会改革者」という見方を提示しました。
このテーマは単独のテーマというより、「イノベーション・改革・違和感から生まれる変化」という視点として、どんな分野の文章でも登場します。「なぜ当たり前に疑問を持つことが大切か」は論説文全般の根幹テーマ。
来年度以降に備えるなら:「自分が当たり前だと思っていたことで、違う見方をしたとき」を思い出してみよう。「常識を疑う力」は科学・歴史・社会どの分野にも登場します
出題作品:「ミライの授業」滝本哲史(令和6年度)
スマホやSNSが日常になった中で、「情報を選ぶ力(情報リテラシー)」「フィルターバブル(自分が見たい情報しか見えなくなる現象)」「デマや誤情報の広がり方」「いいね文化と承認欲求」などが中学生にとって最もリアルなテーマです。
「情報を受け取るだけでなく批判的に読む力」「事実と意見を区別する力」は、国語の読解力とも直結します。近年の中学教科書でも必ず取り上げられているトピックです。
準備のポイント:「SNSを使っていて困ったこと・気になったこと」を具体的に思い出してみよう。「情報を疑う」「発信する責任」というキーワードをメモしておく
「地球温暖化」「カーボンニュートラル(炭素の排出をゼロに)」「再生可能エネルギー」「生物多様性の喪失」などは世界的な話題です。沖縄という地域は特にサンゴ礁・海洋環境への関心が高く、地域性とも重なるテーマです。
「一人ひとりの行動が世界とつながっている」という論旨は、令和5年度のエシカル消費テーマとも連動しています。「現状・原因・対策・私たちにできること」という構造で論が進むパターンが多いです。
準備のポイント:SDGsの17の目標を全部覚える必要はなし。「なぜ今これが必要か」という理由を一言で言えるようにしておこう
コロナ禍以降、「人との距離感」「孤独・孤立」「オンラインのつながりはリアルと違うか」という問いが社会で増えています。「家族の形が変わっている」「地域のつながりが薄れている」という話も論説文の定番テーマです。
小説テーマ(家族・友情)とも重なる部分が大きく、「人はなぜつながりを必要とするのか」「スマホがあっても孤独になるのはなぜか」という論旨での出題が見込まれます。
準備のポイント:「リアルのつながりとオンラインのつながりは何が違うか」「孤独はなぜ生まれるか」を考えてみよう
アイデンティティ・自己表現・「自分らしさ」
次に出やすい
「自分とは何者か」「他者の目を気にしすぎる社会」「キャラを演じること」「本当の自分はどこにいるか」——これらは中学生が最もリアルに感じているテーマです。
哲学・心理学・社会学の視点から書かれた文章が多く、「人は一人で自分を形成できるか」「他者がいるから自分が生まれる」という論旨も登場します。「自己肯定感」「承認欲求」というキーワードもよく使われます。
準備のポイント:「本当の自分」「キャラを演じる」「SNSでの自分と実際の自分の違い」を自分の言葉で語れるようにしておこう
「男だから・女だからこうあるべき」という固定観念(ジェンダーステレオタイプ)への問い直しは、社会で大きなテーマになっています。「LGBTQ+」「選択的夫婦別姓」「スポーツでの男女区分」など具体的な話題と結びついて論じられます。
入試では「特定の立場を批判する」のではなく、「なぜ固定観念が生まれるか」「それを問い直すことの意味」という形で出ることが多いです。多様性テーマ(令和4年度)の延長線上にある話。
準備のポイント:「当たり前だと思っていたことが、実は思い込みだった」という体験を思い出してみよう。性別に関わらず「なぜそう思っていたか」を言語化できると強い
ナイチンゲールの話(令和6年)はまさに「データで相手を動かした」という科学的思考のテーマでした。「印象・感情ではなく証拠・根拠で判断する」「統計の読み方」「相関と因果の違い」なども出てきやすいです。
「なんとなくそう思う」ではなく「なぜそう言えるか」を問う姿勢は、国語の記述力とも完全に一致します。理科・社会とも重なる「思考の基本」として位置づけられています。
準備のポイント:「なぜそう言えるか」を必ず一言つけ加える習慣を。ニュースを見て「これは事実?それとも意見?」を考えるだけでもOK
▶ 沖縄県立入試の論説文に5年連続で使われている構造
どのテーマの論説文でも、ほぼ必ず「AではなくBだ」という二項対立の構造が使われています。
令和7年度「映像を楽しむ」のではなく→「快楽で効率的に消費するもの」に変わった
令和6年度「やさしい看護師」のイメージではなく→「データで政府を動かした社会改革者」
令和5年度「捨てる側の問題」だけでなく→「買う側にも責任がある」
令和4年度「はずれ者は不要」ではなく→「進化をもたらす存在」
令和3年度「AIも人間も同じ知性を持つ」わけではなく→「疑い・問い直す力は人間固有」
どのテーマでも「読者が当たり前と思っていることを否定→筆者の視点を提示」という流れです。「しかし」という言葉を見たら、その直後が筆者の主張です。これはどのテーマでも使えるルールです。
📖
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タイパ Time Performance
「時間対効果」のこと。同じ時間でどれだけ多くを得られるかを重視する考え方。倍速視聴はこの感覚から来ている。
令和7出題
コスパ Cost Performance
「費用対効果」のこと。タイパと対になる言葉。「安くて得した」という感覚。
共感性羞恥 Empathy Embarrassment
ドラマや映画のドキドキ場面・恥ずかしい場面で、見ているこちらが苦しくなる感覚。「感情移入しすぎて自分まで恥ずかしい」という心理。
令和7出題
フィルターバブル Filter Bubble
SNSのアルゴリズムが「自分の好きそうな情報」ばかり届けるようになり、違う意見や視点が見えなくなっていく現象。
アルゴリズム Algorithm
YouTubeやInstagramの「おすすめ」を決める仕組みのこと。あなたが見た動画や検索履歴をもとに、次に何を見せるかを自動で決めている。
情報リテラシー Information Literacy
情報を「正しく読み解く力」のこと。嘘かどうか判断する力・情報の出所を確認する力・事実と意見を区別する力、すべて含む。
フェイクニュース Fake News
意図的に作られた嘘の情報や、事実をねじ曲げたニュースのこと。SNSで拡散しやすく、社会問題になっている。
デジタルデトックス Digital Detox
意図的にスマホやSNSから離れる時間を作ること。「つながりすぎ」への反省から生まれた考え方。
承認欲求 Need for Approval
「いいね」や「見てもらえた」という感覚で満たされる、人に認められたい気持ちのこと。SNSとセットで論じられることが多い。
AIの創造性
AIは文章・絵・音楽を生み出せるが、それは「本当の創造か」という問い。「疑う力・意味を問う力は人間にしかない」という論点とつながる。
令和3出題
エシカル消費 Ethical Consumption
「倫理的な消費」のこと。ただ安いから買うのではなく、「誰がどんな環境で作ったか」「環境に悪くないか」まで考えて買うこと。
令和5出題
フードロス Food Loss
まだ食べられるのに捨てられる食品のこと。日本では年間約500万トン(国民一人ひとりが毎日茶碗1杯分捨てている計算)。
ファストファッション Fast Fashion
流行に合わせて大量生産・低価格・短期間で使い捨てられる衣料品のこと。安さの裏に、劣悪な労働環境や大量廃棄という問題がある。
フェアトレード Fair Trade
発展途上国の農家や職人が正当な対価を得られるよう、公正な条件で取引する仕組み。コーヒー・チョコレートなどが代表例。
カーボンニュートラル Carbon Neutral
CO₂などの温室効果ガスの排出量を実質ゼロにすること。日本は2050年までにこれを目指すと宣言している。
SDGs Sustainable Development Goals
国連が決めた「2030年までに世界が達成すべき17の目標」。「誰一人取り残さない」がキャッチフレーズ。貧困・環境・平等など幅広い問題が含まれる。
大量生産・大量消費・大量廃棄
20世紀に広まった「たくさん作って・たくさん使って・たくさん捨てる」という社会のあり方。現代の環境問題の根本として批判的に論じられる。
令和5出題
生物多様性 Biodiversity
地球上に多様な生き物が存在すること、その多様さそのものに価値があるという考え方。はずれ者が進化をもたらすテーマと重なる。
グローバルサプライチェーン Global Supply Chain
一つの商品が「原材料の採取→製造→輸送→販売」されるまでの流れが、世界中の国をまたいでつながっている仕組みのこと。
再生可能エネルギー Renewable Energy
太陽光・風力・水力など、自然の力を使って繰り返し生み出せるエネルギーのこと。石油や石炭(化石燃料)の代わりとして注目されている。
多様性(ダイバーシティ) Diversity
年齢・性別・国籍・考え方など、様々な違いを持つ人々が共存すること。「違い=弱さ」ではなく「違い=強み」として評価する視点。
令和4出題
インクルージョン Inclusion
「誰一人排除しない社会」のこと。ダイバーシティ(多様性)を受け入れて、全員が活躍できる仕組みを作ること。
アイデンティティ Identity
「自分とは何者か」という感覚のこと。「自己同一性」とも言う。思春期に「本当の自分はどこにいるか」という問いとして現れやすい。
ジェンダー・固定観念(ステレオタイプ) Gender Stereotype
「男だから〇〇すべき」「女だから〇〇が好き」などの思い込みのこと。性別に関係なく個人として見ることが大切だという論旨でよく使われる。
自己肯定感 Self-esteem
「ありのままの自分でいい」と思える感覚のこと。失敗しても立ち直れる力の源になるとされる。日本の若者は国際比較で低いと言われている。
承認欲求 Need for Recognition
他の人に「認められたい・ほめられたい・見てほしい」という気持ち。SNSの「いいね」と深く結びついている。
孤立・孤独 Isolation / Loneliness
孤立=客観的に一人でいる状態。孤独=主観的につながりを感じられない状態。SNS時代でも「スマホを持っていても孤独」という現象が問われる。
コミュニティ Community
人々がつながって生活する集まりのこと。家族・学校・地域など。コロナ禍以降「リアルのコミュニティが失われた」という論点がよく登場する。
マイノリティ Minority
社会の中で少数派にあたる人々のこと。障がい者・LGBTQ+・外国人など。「多数派の常識」が無意識に少数派を排除することへの問い直しとして使われる。
LGBTQ+ Sexual/Gender Minority
レズビアン・ゲイ・バイセクシュアル・トランスジェンダー・クエスチョニングなど、性のあり方の多様性を表す言葉。性別の固定観念を問う論説文と一緒に登場することが多い。
批判的思考(クリティカルシンキング) Critical Thinking
「本当にそうか?」「なぜそう言えるか?」と問い直す考え方のこと。批判=悪口ではなく「根拠を確認する」という意味。論説文の筆者はほぼ全員これをやっている。
相関と因果
「一緒に変化する(相関)」ことと「原因と結果の関係(因果)」は違う。例:「アイスがよく売れる日は水難事故が多い」→原因は暑さであり、アイスが水難事故を引き起こすわけではない。
エビデンス Evidence
「証拠・根拠」のこと。「なんとなくそう思う」ではなく「データや研究結果に基づいて言える」という状態。記述問題で「根拠を書きなさい」と言われるときのエビデンスのこと。
仮説と検証 Hypothesis & Verification
「こうではないか」と予測を立て(仮説)、実際に試して確かめること(検証)。科学の基本的な考え方で、「思い込みではなく確かめる」姿勢の大切さを論じるときに登場する。
データリテラシー Data Literacy
グラフや数字を正しく読み解く力のこと。「数字があれば正しい」は危険で、「どのデータを・どう使っているか」を見抜く力が必要。
常識の問い直し
「みんなが当たり前だと思っていること」に「本当にそうか?」と疑問を持つこと。ナイチンゲールの話(令和6年)はこの典型例。論説文の筆者の多くがこれをやっている。
令和6出題
パラダイムシフト Paradigm Shift
「考え方・見方の大転換」のこと。「地球は宇宙の中心」→「地球は太陽の周りを回っている」のような、それまでの常識がひっくり返るほどの変化を指す。
バイアス Bias
「思い込み・偏り」のこと。「女性は理系が苦手」「外国人は〇〇だ」などの思い込みが判断を歪めること。「アンコンシャスバイアス(無意識の偏見)」とも言われる。
非言語コミュニケーション
言葉を使わない伝え方のこと。表情・声のトーン・身振り・間の取り方など。「台所のおと」(令和7年)は音だけで気持ちを伝えるまさにこれ。
令和7出題
本音と建前
「本音」は本当の気持ち、「建前」は表向きの言葉・態度のこと。「孫係」(令和6年)のおじいちゃんの言葉のように、日本語の会話では両方が同時に使われる。
令和6出題
言葉の多義性
同じ言葉でも、文脈・場面によって意味が変わること。「春や春」(令和4年)で「友」という一語が持つ重みがテーマになったのがこれ。
令和4出題
メタファー(比喩) Metaphor
「人生は旅だ」「心が凍りついた」のように、別のものに例えて表現すること。論説文で筆者が主張を分かりやすく説明するために使い、「この比喩は何を表しているか」という問題になることがある。
対話・議論 Dialogue / Discussion
一方的に話すのではなく、お互いの考えを出し合って理解を深めること。「議論と口げんかは違う」「対話は相手を理解しようとすることから始まる」という論点で登場する。
沈黙の意味
「何も言わない」ことも一つのメッセージであること。日本語では「察する」文化があり、言葉を使わないことが「優しさ」「遠慮」「拒絶」などを意味する場合がある。小説問題で問われやすい。
エコーチェンバー Echo Chamber
SNSなどで、自分と同じ意見の人とだけつながるようになり、その意見がどんどん強化されていく現象。「こだまが返ってくる部屋」のイメージ。フィルターバブルと似た概念。
翻訳できない言葉
「木漏れ日」「わびさび」「もったいない」のように、他の言語に訳せない日本語の概念のこと。言語と文化の深いつながりの証拠として論説文に登場する。
効率に還元できないものの価値
時間がかかる・すぐ役に立たない・数値化できない——でも大切なもの。芸術・手仕事・読書・遊びなどがこれに当たる。「タイパ・コスパ」重視への対抗軸として論じられる。
身体知・暗黙知 Tacit Knowledge
言葉や説明書では伝えられない「体で覚えた知識」のこと。自転車の乗り方・料理の感覚・職人の技など。AIやマニュアルに置き換えられない人間の知恵として論じられる。
無形文化財・伝統文化
形には残らない、人から人へと受け継がれてきた技術・芸能・習慣のこと。琉球舞踊・沖縄の方言(うちなーぐち)なども含まれる。「失われていく文化をどう守るか」という問いで登場する。
オリジナリティと模倣 Originality & Imitation
「真似することから創造は始まる」という考え方。また、AIが生み出す作品は本当に「オリジナル」か、という問いとも重なる。「創造性とは何か」を論じる文章でよく登場する。
芸術の役割
芸術は「役に立つ」ものなのか、という問い。「役に立たなくてもいい、心を動かすことに意味がある」という立場と「社会を変える力がある」という立場が対比で論じられる。
標準化 vs 個性
「みんな同じにそろえる(標準化)」ことと「それぞれが違っていい(個性)」ことの対立。学校教育・製品づくり・社会の仕組みなど幅広い場面で論じられる。多様性テーマと直結。
直接体験 vs 間接体験
実際にやってみる(直接体験)と、画像・動画・話で知る(間接体験)の違い。「本を読んで知っている」と「実際に行って感じた」は別物という論旨でよく登場する。
五感 Five Senses
見る・聞く・嗅ぐ・味わう・触れる、の5つの感覚のこと。「台所のおと」(令和7年)は「聴覚」で気持ちを読む作品。デジタル体験では五感が限られるという論点で登場する。
令和7出題
読書の体験
本を読むことは「他人の頭の中で考える」体験だという見方がある。動画や要約とは違い、じっくり言葉と向き合うことで生まれる想像力・共感力・思考力のこと。
自然との関わり
都市化が進む中で、人間が自然から切り離されていくことへの問い。「自然の中で感じる時間・季節・命」という感覚の大切さ。沖縄の豊かな自然環境とも重なるテーマ。
スローライフ・ゆとり
タイパ・効率化への反省から生まれた考え方。「急がない・遠回りする・余白を持つ」ことの価値を見直す動き。「速さが正しい」という前提を問い直す論旨で登場する。
当事者性 Involvement
「自分ごとにする」ということ。環境問題や社会問題を「他人事ではなく自分に関係する問題」として受け取ること。論説文の締めくくりに「あなた自身はどうするか」という問いかけでよく使われる。
グローバル化 Globalization
ヒト・モノ・お金・情報が国境を越えて行き来するようになること。「世界がつながった」ことのメリット(交流・発展)とデメリット(格差・文化の均質化)が対比で論じられる。
ローカル・地域性 Local Identity
グローバル化の対になる概念。「どこにいても同じ」ではなく「ここにしかない」ものの価値。沖縄の文化・言葉・食・自然はまさにこれ。「地産地消」もここに含まれる。
イノベーション Innovation
ただの「発明」ではなく、社会の仕組み・価値観・やり方を根本から変えること。「当たり前のひっくり返し」(令和6年)はまさにイノベーションの話。
令和6出題
少子高齢化
子どもが減り(少子)、高齢者が増える(高齢化)社会現象のこと。労働力不足・社会保障の問題など、日本社会の根本的な課題として様々なテーマと絡んで登場する。
格差社会 Gap Society
お金持ちと貧しい人の差が広がっていく社会のこと。「生まれた家庭によって将来が決まる」という問題意識。教育・機会・情報格差などとセットで論じられる。
移民・多文化共生
異なる文化・言語・習慣を持つ人々が同じ社会で共に生きること。「違いを受け入れる」ことの難しさと大切さ。日本でも外国人労働者・留学生の増加で現実の問題になっている。
ウェルビーイング Well-being
お金や成功だけでなく、「心も体も社会的にも満たされた状態」のこと。GDP(国の豊かさの指標)では測れない幸せのあり方として、近年注目されているキーワード。
現代のテーマを読む前に
テーマを知ることは、
「地図を持って読む」ことです
論説文が難しく感じる理由の一つは、「全部が初めての話」に見えるからです。でも、テーマを知っておくと「あ、これはSDGsの話だ」「これは多様性の話だ」と気づいた瞬間に、文章の地図が見えます。
テーマの内容を全部暗記する必要はありません。「どんな話題があるか」「どんな言葉が出てくるか」を頭の片隅に置いておくだけで、初めて読む文章が10倍読みやすくなります。
論説文はいつも「今の社会を、どう考えるか」という話をしています。あなた自身が今生きているこの社会の話です。
知っておくと得するキーワード
「あ、知ってる」が
読解スピードを上げる
本文に出てきたとき、意味を知っているだけで
読みやすさが格段に変わります。
覚えるより「見たことがある」が大事。
まずは流し読みでOK。
📝
読解の基本キーワード
どの問題でも必ず使う「読む土台」になる言葉
主観と客観
主観=「自分がそう感じる」こと。客観=「誰が見ても同じように確認できる」こと。論説文では「主観的な意見」と「客観的な事実」を区別して読むことが基本。「筆者の意見はどこか」を探す力に直結する。
具体と抽象
具体=「実際の例・出来事」。抽象=「まとめた・一般化した考え」。論説文は「抽象的な主張→具体的な例→再び抽象へ」という流れで書かれることが多い。「この例は何を示しているか」を問う問題に直結する。
対比(二項対立)
「AではなくBだ」という形で二つのものを比べる書き方のこと。沖縄の入試問題では5年連続でこの構造が使われている。「しかし」「一方で」「ではなく」の前後に注目するだけで筆者の主張が見えてくる。
共感
「相手の気持ちを自分のことのように感じる」こと。小説問題で「登場人物の気持ちを読む」とき、この力が問われている。共感と同情は違う——同情は「かわいそう」と上から見ること、共感は「一緒にいる」感覚。
他者
「自分以外の人」のこと。論説文では「他者との関わりで自分が形成される」「他者の視点で世界が広がる」という論旨でよく登場する。「他者を理解すること」=「国語の読解をすること」とほぼ同義でもある。
象徴(シンボル)
あるものが「別の大きな意味」を持つこと。「台所のおと」の音は「気持ちの象徴」として機能している。小説で「なぜこの描写があるのか」を問う問題の多くは、象徴を読む力を試している。
心情の変化
物語の中で登場人物の気持ちがどう移り変わるかのこと。入試の小説問題では「最初と後でどう変わったか」を問う問題が毎年必ず出る。「始め/途中/終わり」の気持ちを比べながら読む習慣が大切。
擬音語・擬態語(オノマトペ)
「ざあざあ」「そっと」「ぼんやり」のように、音や様子を言葉で表したもの。「台所のおと」のように、オノマトペが気持ちを表す小説問題では「なぜこの言葉が使われているか」を問われることがある。
📱
テクノロジー・情報社会
SNS・AI・デジタル化をめぐる論点
タイパ Time Performance
「時間対効果」のこと。同じ時間でどれだけ多くを得られるかを重視する考え方。倍速視聴・要約動画はこの感覚から生まれた。効率を最優先することへの問い直しとセットで論じられる。
令和7出題
コスパ Cost Performance
「費用対効果」のこと。タイパと対になる言葉で、どちらも「損をしたくない」という心理から来ている。「効率重視の時代」を表すキーワードとして論説文でセットで登場することが多い。
利便性と失われるもの
技術が便利になるほど、「手間・時間・偶然の発見」など大切なものが失われていくという論点。「倍速視聴が広まると何を失うか」「スマホで調べると記憶しなくなる」など、テクノロジー論説の典型的な論の流れ。
共感性羞恥 Empathy Embarrassment
ドラマや映画の恥ずかしい場面・緊張する場面で、見ているこちらまで苦しくなる感覚。「感情移入しすぎて自分まで恥ずかしい」という心理。倍速視聴を好む理由の一つとして登場した。
令和7出題
フィルターバブル/エコーチェンバー
SNSのアルゴリズムが「自分の好きそうな情報」ばかり届けるようになり(フィルターバブル)、同じ意見の人とだけつながって考えがどんどん偏っていく現象(エコーチェンバー)。どちらも「多様な視点が見えなくなる」問題を指す。
情報リテラシー Information Literacy
情報を「正しく読み解く力」のこと。嘘かどうか判断する・情報の出所を確認する・事実と意見を区別する——この3つがセット。フェイクニュースが広まる時代に特に重要とされる力。
フェイクニュース Fake News
意図的に作られた嘘の情報・事実をねじ曲げたニュースのこと。SNSで拡散しやすく、「見たことがある=正しい」という錯覚が起こりやすい。情報リテラシーと一緒に論じられる。
AIの創造性と限界
AIは文章・絵・音楽を生み出せるが、「本当に創造しているのか」という問い。「疑う力・意味を問う力・文脈を感じる力は人間にしかない」という論点で、人間とAIの違いを論じる文章に必ず出てくる。
令和3出題
デジタルデトックス Digital Detox
意図的にスマホやSNSから離れる時間を作ること。「常につながっている状態」が当たり前になった反動として生まれた考え方。身体・感覚テーマとも重なる。
🌍
環境・消費・社会
「買う・使う・捨てる」をめぐる現代の問い
エシカル消費 Ethical Consumption
「倫理的な消費」のこと。安さだけで選ぶのではなく、「誰がどんな環境で作ったか」「環境に悪くないか」まで考えて買う行動。フェアトレード・地産地消もこの一部。
令和5出題
大量生産・大量消費・大量廃棄
20世紀に広まった「たくさん作って・たくさん使って・たくさん捨てる」社会のあり方。現代の環境問題の根本として批判的に論じられ、エシカル消費やSDGsはその対抗軸として位置づけられる。
令和5出題
フードロス Food Loss
まだ食べられるのに捨てられる食品のこと。日本では年間約500万トン(国民一人ひとりが毎日おにぎり1個分捨てている計算)。大量廃棄問題の身近な例として登場する。
ファストファッション Fast Fashion
流行に合わせて大量生産・低価格・短期間で使い捨てられる衣料品のこと。安さの裏に劣悪な労働環境や大量廃棄という問題がある。エシカル消費テーマでよく引き合いに出される。
フェアトレード Fair Trade
発展途上国の農家・職人が正当な対価を得られるよう、公正な条件で取引する仕組み。コーヒー・チョコレートが代表例。「誰かの犠牲の上に成り立つ安さ」への問い直しとして論じられる。
SDGs Sustainable Development Goals
国連が定めた「2030年までに世界が達成すべき17の目標」。「誰一人取り残さない」がキャッチフレーズ。環境・貧困・平等・健康など幅広い問題が含まれ、論説文の背景知識として頻出。
生物多様性 Biodiversity
地球上に多様な生き物が存在することの価値。「はずれ者・変わり者こそ進化をもたらす」という論旨(令和4年)と重なる。均一化・標準化への批判として登場することが多い。
再生可能エネルギー Renewable Energy
太陽光・風力・水力など、自然の力で繰り返し生み出せるエネルギー。石油・石炭(化石燃料)の代わりとして注目されており、カーボンニュートラルの実現手段として論じられる。
カーボンニュートラル Carbon Neutral
CO₂などの温室効果ガスの排出量を実質ゼロにすること。日本は2050年までの達成を宣言。気候変動・地球温暖化への対応として各国が掲げている目標。
🧠
人間・自己・多様性
「自分とは何か」「他者とどう生きるか」を問う論点
アイデンティティ Identity
「自分とは何者か」という感覚のこと。「自己同一性」とも言う。思春期に「本当の自分はどこにいるか」「キャラを演じている自分と本当の自分は違う」という形で現れやすい。小説・論説の両方で登場する。
自己肯定感 Self-esteem
「ありのままの自分でいい」と思える感覚のこと。失敗しても立ち直れる力の源になる。日本の若者は国際比較で低いと言われており、承認欲求の高まりとも関連して論じられる。
承認欲求 Need for Recognition
「認められたい・ほめられたい・見てほしい」という気持ち。SNSの「いいね」の仕組みはこの欲求を刺激するように設計されている。自己肯定感が低いほど承認欲求が強くなる傾向があるとも言われる。
多様性(ダイバーシティ) Diversity
年齢・性別・国籍・障がい・考え方など、様々な違いを持つ人々が共存すること。「違い=弱さ」ではなく「違い=強み」として評価する視点。インクルージョンとセットで理解する。
令和4出題
インクルージョン Inclusion
「誰一人排除しない社会」のこと。多様な人々が活躍できる仕組みを作ること。ダイバーシティが「違いを認める」概念なら、インクルージョンは「違いを活かす」仕組み。
ジェンダー・ステレオタイプ Gender Stereotype
「男だから〇〇すべき」「女だから〇〇が好き」などの思い込み・固定観念のこと。性別に関係なく個人として見ることが大切だという論旨でよく使われる。LGBTQ+テーマとも重なる。
マイノリティ Minority
社会の中で少数派にあたる人々のこと。障がい者・LGBTQ+・外国人・特定の宗教を持つ人など。「多数派の常識」が無意識に少数派を排除することへの問い直しとして登場する。
孤立・孤独 Isolation / Loneliness
孤立=客観的に一人でいる状態。孤独=主観的につながりを感じられない状態。SNS時代でも「フォロワーが多くても孤独」という現象が論じられ、承認欲求とセットで登場することが多い。
ケア・気遣い
相手のことを思って、そっと助けたり気にかけたりすること。「孫係」(令和6年)のように小説では「直接言わない優しさ」「行動で示す愛情」として表れることが多い。気持ちを読む問題で必ず問われる視点。
令和6出題
コミュニティ Community
人々がつながって生活する集まりのこと。家族・学校・地域・オンラインなど。コロナ禍以降「リアルのコミュニティが失われた」という論点がよく登場する。ウェルビーイングとも深く関わる。
🔬
科学・思考・知識
「考える・調べる・判断する」力に関わる言葉
批判的思考(クリティカルシンキング) Critical Thinking
「本当にそうか?」「なぜそう言えるか?」と問い直す考え方のこと。批判=悪口ではなく「根拠を確認する」という意味。論説文の筆者はほぼ全員これをやっており、入試問題を解く力とも直結する。
常識の問い直し
「みんなが当たり前だと思っていること」に「本当にそうか?」と疑問を持つこと。ナイチンゲールが「やさしい看護師」ではなく「データで社会を変えた改革者」だったという話(令和6年)はその典型。
令和6出題
バイアス(思い込み・偏り) Bias
「女性は理系が苦手」「外国人は〇〇だ」などの思い込みが判断を歪めること。無意識のうちに持っているものを「アンコンシャスバイアス」と言う。ジェンダー・多様性テーマとセットで登場する。
相関と因果
「一緒に変化する(相関)」ことと「原因と結果の関係(因果)」は違う。例:「アイスが売れる日は水難事故が多い」→原因は「暑さ」であり、アイスが水難事故を起こすわけではない。データを読む問題で問われる。
エビデンス Evidence
「証拠・根拠」のこと。「なんとなくそう思う」ではなく「データや研究結果に基づいて言える」という状態。記述問題で「根拠を本文から書きなさい」と言われるときの「エビデンス」を探す力に直結する。
パラダイムシフト Paradigm Shift
「考え方・見方の大転換」のこと。「地球が宇宙の中心→地球が太陽の周りを回る」のように、それまでの常識がひっくり返るほどの変化。「常識の問い直し」テーマの発展形として登場する。
仮説と検証 Hypothesis & Verification
「こうではないか」と予測を立て(仮説)、実際に試して確かめること(検証)。科学の基本姿勢で、「思い込みではなく確かめる」という考え方。ナイチンゲールの統計活用(令和6年)はまさにこれ。
データリテラシー Data Literacy
グラフや数字を正しく読み解く力のこと。「数字があれば正しい」は危険で、「どのデータを・どう使っているか」を見抜く力が必要。情報リテラシーの一部で、科学的思考テーマと深く関わる。
💬
言語・コミュニケーション・表現
「伝える・受け取る」をめぐる言葉
非言語コミュニケーション
言葉を使わない伝え方のこと。表情・声のトーン・身振り・間の取り方・音など。「台所のおと」(令和7年)は音だけで気持ちを読む作品で、まさにこれが問われた。小説問題では最も重要な視点の一つ。
令和7出題
本音と建前
「本音」は本当の気持ち、「建前」は表向きの言葉・態度のこと。「孫係」(令和6年)のおじいちゃんが「余計なことを言うな」と言いながら本当は孫を気にかけているシーンのように、日本語の会話では両方が同時に使われる。
令和6出題
言葉の多義性
同じ言葉でも、文脈・場面によって意味が変わること。「春や春」(令和4年)で「友」という一語が持つ重みがテーマになったのがこれ。「この言葉はここでどういう意味か」という問題に直結する。
令和4出題
沈黙の意味
「何も言わない」ことも一つのメッセージ。日本語では「察する」文化があり、沈黙が「優しさ」「遠慮」「怒り」「悲しみ」などを表すことがある。小説問題で「この場面で〇〇は何も言わなかった。それはなぜか」という形で問われる。
メタファー(比喩) Metaphor
「人生は旅だ」「心が凍りついた」のように、別のものに例えて表現すること。論説文では筆者が主張を分かりやすく説明するために使い、「この比喩は何を表しているか」という問題になることがある。
翻訳できない言葉
「木漏れ日」「わびさび」「もったいない」のように、他の言語に訳せない日本語の概念のこと。言語と文化の深いつながりの証拠として論説文に登場する。「言葉が変わると感じ方まで変わる」という論点にもつながる。
対話と議論の違い
対話=相手を理解しようとする会話。議論=どちらが正しいかを決める会話。「口げんかは対話でも議論でもない」という形で論じられる。国語の授業でよく出てくる概念で、入試でも確認される。
🎨
文化・芸術・創造・身体
効率では測れない価値をめぐる論点
効率に還元できないものの価値
時間がかかる・すぐ役に立たない・数値化できない——でも大切なもの。芸術・手仕事・読書・遊び・雑談がこれにあたる。「タイパ・コスパ」重視への対抗軸として論じられ、入試で最も問われるテーマの一つ。
身体知・暗黙知 Tacit Knowledge
言葉や説明書では伝えられない「体で覚えた知識」のこと。自転車の乗り方・料理の感覚・職人の技など。AIやマニュアルに置き換えられない人間固有の知恵として論じられる。直接体験テーマとセット。
直接体験 vs 間接体験
実際にやってみる(直接体験)と、画像・動画・話で知る(間接体験)の違い。「動画で見た旅行先」と「実際に行って感じた旅行先」は別物、という論旨でよく登場する。五感・身体知とセットで理解する。
五感 Five Senses
見る・聞く・嗅ぐ・味わう・触れる、の5つの感覚のこと。「台所のおと」(令和7年)は「聴覚」で気持ちを読む作品。デジタル体験では五感の多くが省かれるという論点で登場する。
令和7出題
無形文化財・伝統文化
形には残らない、人から人へと受け継がれてきた技術・芸能・習慣のこと。琉球舞踊・沖縄の方言(うちなーぐち)なども含まれる。「失われていく文化をどう守るか」「効率化では守れないものがある」という問いで登場する。
オリジナリティと模倣
「真似することから創造は始まる」という考え方。AIが生み出す作品は「本当にオリジナルか」という問いとも重なる。「創造性とは何か」を論じる文章では必ず出てくる対比。
スローライフ・ゆとり
タイパ・効率化への反省から生まれた考え方。「急がない・遠回りする・余白を持つ」ことの価値を見直す動き。「速さ=正しさ」という前提を問い直す論旨で登場する。直接体験テーマとも重なる。
読書の体験
本を読むことは「他人の頭の中で考える」体験だという見方がある。動画や要約とは違い、言葉とじっくり向き合うことで生まれる想像力・共感力・思考力。国語の問題そのものとつながる。
🌐
社会の変化・グローバル
現代社会の大きな流れと日本が抱える課題
ウェルビーイング Well-being
お金や成功だけでなく、「心も体も社会的にも満たされた状態」のこと。GDP(国の豊かさの数値)では測れない幸せのあり方。「幸せとは何か」を問う論説文のゴールに置かれることが多い。
イノベーション Innovation
ただの「発明」ではなく、社会の仕組み・価値観・やり方を根本から変えること。ナイチンゲールがデータを使って医療制度を変えた話(令和6年)はまさにイノベーション。「常識の問い直し」と深く重なる。
令和6出題
グローバル化 Globalization
ヒト・モノ・お金・情報が国境を越えて行き来するようになること。メリット(交流・経済発展)とデメリット(文化の均質化・格差拡大)が対比で論じられる。ローカル・地域性の大切さとセットで理解する。
ローカル・地域性 Local Identity
グローバル化の対になる概念。「どこにいても同じ」ではなく「ここにしかない」ものの価値。沖縄の文化・言葉・食・自然はまさにこれ。「地産地消」もここに含まれる。沖縄で入試を受けるあなたに特に関係が深いテーマ。
移民・多文化共生
異なる文化・言語・習慣を持つ人々が同じ社会で共に生きること。「違いを受け入れる」ことの難しさと大切さ。日本でも外国人労働者・留学生の増加で現実の問題になっており、多様性テーマと直結する。
少子高齢化
子どもが減り(少子)、高齢者が増える(高齢化)社会現象のこと。労働力不足・社会保障費の増大・地域コミュニティの衰退など、日本社会の様々な問題の根本にある背景として登場する。
格差社会 Gap Society
お金持ちと貧しい人の差が広がっていく社会のこと。「生まれた家庭によって将来が決まる」という問題意識。教育格差・情報格差・機会格差などとセットで論じられる。
当事者性
「自分ごとにする」ということ。環境問題や社会問題を「他人事ではなく自分に関係する問題」として受け取ること。論説文の締めくくりに「あなた自身はどうするか」という問いかけが来るとき、この概念が核心にある。
キーワードを知ることの意味
「地図」を持って
文章を読もう
キーワードを全部暗記する必要はありません。「見たことがある」だけで十分です。
論説文に「エシカル消費」と出てきたとき、「あ、環境と消費の話だな」と思えるだけで、文章全体の方向がわかります。それが地図を持って読むということです。
「読解の基本キーワード」だけは、どの問題でも使う道具です。まずここから読んでみてください。